木を見て森を見ずという諺があるが、今の相場、そして日本を見るには、その逆で行かねばならぬ。
穴を出る蛇を見て居る鴉かな 虚子。
俳句の面白さは、季語にあると思う。
蛇は夏の季語だが穴を出る蛇は春の季語になる。これは啓蟄からの流れで、着眼点の違い。
相場の大局観は、これから新芽吹く春を迎え、そして、草木生い茂る夏へと移り変わる。
日本経済も立ち直ってくる。
二十年以上低迷していた経済も底打ち。立ち直る兆しが出てきた。
経済も相場と同じ、底を打てば、繁栄期を迎え、天井打つまで上昇する。
安部さんの面構えの血色の良さよ。二度も総理大臣を勤めるくらいである。運も良い。
戦後、一度退陣して、再登板した総理大臣は、吉田茂元首相以来、六十四年ぶりという。
丁度、コンドラチェフの経済サイクルが六十年前後。
敗戦のドン底に落ちた日本の復興に力を注いだのは吉田内閣。六十年後、円高と震災や津波、原発事故と、これ以上無い痛手を被った日本。
日本の基幹産業ともいえる大手電機、自動車メーカー、電力会社もドン底に突き落とされた。
そおいえば、昨年NHKで「負けて勝つ」という吉田茂のドラマをやっていた。何かのめぐり合わせであろうか。
目に見えない法則が働いていることを感じずにはいられない。
国内商品や株、ドル円の大局は上昇と見て間違いない。東京金も新値を取ってこよう。
今は一本一本の木を見て張る相場ではない。
森全体を見て、季節を知るべきであろう。