異次元世界の果て(日刊版05月20日付)

良い記憶はいつまでも覚えている。相場界では、時として、その記憶に足を引っ張られることがある。

それが発作的なものであっても、人の行動原理には、背後に過去の経験則がひろがっている。

得てして、今まで見たことのない世界を前にすると、そんなはずはない、と意固地になる。

相場界では、それが、曲がり屋への入り口だ。

ドル円相場の五月の月足棒はここまで大陽線。八カ月連続陽線の相場など、ほとんど見ない。

そんな線形、十年以上も上昇を続ける金相場でさえ、日米ともに見たことがない。

日経平均株価に至 っては月足十カ月連続陽線。まさに異次元相場。

人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり。とはいえ、夢幻はどこかで醒める。 アッと驚く下げが来てハッと現実に戻るまで、夢を見続けても良い。

経験者は、夢を見つつも、悪夢が怖くて、途中で目が覚める。

玄人も、半身の構え。最後までトレンドにつかないのも同じ。

急落が来ても結構、上げ続けても結構。起きるべきときに目が覚める。それが、素人との違い。

建玉の仕方にも、経験の差が出る。儲かるほどに玉が増え、逆ピラミッド型の建玉になるのは、所詮素人の所業だ。

一度崩れると、アッという間に全てを失う。この建玉では、ぐっすり眠れまい。眠れるのなら、相当の大物かその逆か。

さて、NY金は、ぼちぼち拾っていく水準に近付いた。旅の準備。

東京金は、4400円前後の買い準備。4200円を割ってくると、買いは止めたほうが良い。

白金は、5000円上抜けを静かに待つ。