鈍と根の問題(日刊版06月07日付)

相場格言は自戒の言葉。判っていても、なかなか出来ぬ事柄が、箴言、金言、格言となっていく。

「最もよい復讐法は、自分まで同じ行為をしないこと」とマルクス・アウレリウスは『自省録』の中で書いた。

上にいけない、下にいけない。そんな相場に動くまで、何食わぬ顔で待つことが出来れば、それは名人の域である。

相場に大事なのは運、鈍、根である。

しかし、運は己の力ではどうしようもない。

運は、気まぐれにやってきては、突然逃げ出すものである。

幸運の女神様には後ろ髪がない、と将棋の米長邦雄さんが言っておられた。あとで存在に気付いて、追いかけても、つかむことができない。

ナポレオンは、戦略を練るとき、常に、運が味方しない事を前提に、作戦を考えたという。鈍は、目先の動きに目もくれず、どっしり構えろということ。

一旦相場が動き出せば、ゆっくり付いて行く。利食い焦らず、値動きや、材料に振り回されることなく、日柄だけを見ておく。物事に動じない肝の太さ、胆力が、利食いの大きさを左右する。

あとは、根気が続くかどうかの問題だ。

今の金相場は、安値を更新するまで、ジッと耐えているか、根が続かなければ、買い玉投げてジッと見ているだけが良いかもしれない。

ドル円相場は、円高基調。これは国内商品には厳しいものがある。

ゴムは、4月安値を切れば買い玉を諦め、次のチャンスを探す。

白金は、4750円陰線棒で下抜ければ、逃げる用意をしておく。