昭和の風林史(昭和四八年四月七日掲載分)

信念で頑張れ 必ず大反騰あり

小豆は信念を持って強気すれば必ず勝利を得る。ここが急所である。弱気まったく無用。

「夜桜のぼんぼりの字の粟おこし 夜半」

三月末の小豆消費地在庫四十四万俵は三十八年一月末の四十六万俵に次ぐ高水準。

荷圧迫で相場は落潮やまない。

インフレ人気の中だるみ。高値買い玉の投げ。他商品および株価の低落なども心理的に影響している。

この間、主力買い方桑名筋は当初の基本的姿勢を変えていない。四月も受ける。五月も予定数を現受けする方針だそうで、仕手筋後退と見られる手口は、ちょうちん筋のものらしい。

それはそれとして五日の外電は米国中西部から東部にかけて続いた連日の豪雨でミシシッピ川がはんらん、

ミズーリ、イリノイ、ルイジアナ、ミシシッピ、アーカンソー、ケンタッキー、テネシーの七州で二万八千平方キロの農地や住宅が浸水、大きな被害を出したが川の水位は百二十九年ぶりの高いものに達し被害はさらにふえそうだと伝えた。

シカゴ大豆はすでにストップ高。綿花にも、また小麦にも大きな影響をあたえることであろう。

週刊文春四月16日号特別レポートは「続発する異常気象。地球がおかしい」と、示唆にとむ記事が出ている。

日柄を研究している読者から『この小豆相場は早ければ来週火、水曜で底が入り、四月の16日、17日はストップ高もあり得る。大正八年の米相場でもそれまで続騰の相場が三月大幅安して、あと未曾有の高値に買われて行った。あれと同じ型だ』―と。

ともかく、いま相場が安いほど、先に行ってスケールが大きくなるわけで、四十万俵の在庫が六十万俵になろうと、在庫がそれだけ無ければ穀取市場は毛糸、生糸の取引所みたいなことになる。

筆者は、買い玉引かされようと、ここは歯を食いしばって頑張るところであると確信する。

相場なんて、一夜明けたらどのように変わるものか判らない。

久しぶりで名古屋の丸物の大沢社長にお逢いしたら、フルーツナイフでリンゴをむきながら『このあたりからの当限の安値は現受けしてモノになる』―と意欲を燃やしていた。恐らく今年は現物を持った者が最後の勝者となろう。

●編集部注
出た。買い方の必殺技にして伝家の宝刀〝現受け〟の登場である。

身も蓋もない話なのだが商品取引は現受け出来る人が一番強い。受け渡しでやって来る倉荷証券は取引にも充当できる。

【昭和四八年四月六日小豆九月限大阪一万一五八〇円・七〇〇円安/東京一万一五九〇円・七〇〇円安】