砂漠の中の広告
コカ・コーラの大きな看板が、砂漠の人がまったく通らない場所にあった、という話は、本当なのかどうか。
重役会で、砂漠のまん中に広告を立てることには、ほとんどの重役が反対した。
ヘリコプターで、資材を運ぶだけでも大変だ。
まして、人が通らないところに、どんな大きな看板を出しても、まったく意味がない、と思うのが常識。
ところが、ある探検家が、駱駝で砂漠を通った時に、遠くに、なにか立っている近づいてみると、コカ・コーラの看板だった。
その時ほど、コーラが飲みたいと思ったことはない。それにしても、なんで、まったく人の通らないところに広告を出しているのか。
その話を、友人、知人にしゃべった。また、探検記を本にした時も、強烈な印象に残ったこの事を書いた。
それが、広まって、コーラの、いい宣伝になった。
かくいう筆者も、そのことをいま書いている。
広告といえば、香港の繁華街の通りに面した場所の広告は凄い。
が、なに一ツ印象に残らない。
ある町内に、日本一うまいと広告している食堂があった。すぐそばに、世界一うまいと広告する店が出来た。
その近くに、町内一うまいという看板が出た。
笑い話である。日本一も、世界一も、町内一には負ける。
広告は、お金がかかるから、効率を考えに考えて、専門職が頭をひねる。
テレビのコマーシャルも、新聞の見開き全面の広告でも、その場限りになる。
週刊誌の電車の中吊り広告も、雑誌は買わないで、広告だけ見て終わる。
商品取引の業界も、商品先物は、投機の場であること。投機は、機に資金を投じる。そのことを、強烈に、印象づけるものが欲しい。
ハイリスク・ハイリターン。ハイリスク・ノーリターン。ローリスク・ハイリターン。
2006年12月記