11月12日付 メリマンコラム 《回顧と展望》その1

結局、何も変わらなかった。

バラク・オバマ大統領の再選が決まった。民主党は上院での支配性を維持。その一方で共和党は下院を掌握するとともに、州知事の過半数を共和党選出者とした(全米50州中30州)。

これらは全て、再び“希望と変化”に関するものである。しかし結局は全くもって“ノーチェンジ”であった。更にもし、あなたがウォール街の投資家の反応によって“希望”を計るとすれば、選挙後の結果が伝えられた後にハッキリと見えたものなどほとんどなかったといえる。

火曜日(6日)、大統領選当日と開票速報が判明したこの日、NYダウは前日比133ポイント上昇。これは恐らく変化―行き詰まりと政治的停滞からの変容―への期待から来るものであったと思われる。

しかし、選挙結果が完全に判明すると、その翌日(7日)の相場は活発な浴びせ売りに見舞われ、大統領選から3日経過した金曜(9日)の朝までに、NYダウは500ポイント以上の下げに見舞われていた。ただその日の午後の記者会見において、大統領が間近に迫っている財政の崖(Fiscal Cliff)に向けて対処する方針を打ち出すと相場は急反発し始めた。

市場は期待していたのだ。大統領が再選後直ちに行うと公約していた財政面で(野党と)妥協していく意欲があるという兆候を見せるという事を。

NYダウは大統領の希望に依拠した演説の開始時間が迫るにつれ、午前につけた安値から150ポイント反発。しかし演説が始まるやいなや、数分もしないうちに、大統領の姿勢に変化がない事が明らかになる事が明白になると、相場は反落して寄りと同じ値位置まで戻す。そこまでの上げ幅全てを打ち消した。

これにより、ウォール街(の連中)が「オバマ大統領の経済に対する姿勢」が好きではないという事が明白になった。更に彼らが(野党と)妥協する上での大統領の姿勢が誠実なものであると信じてもいないという事、更に(もしくは)13年1月1日に来てしまう財政の崖が回避されるとも思っていないという事も明らかになった。