*本日より3日間に分けてMMAサイクルズレポートでも紹介されていた記事の全文を掲載いたします。メリマンコラムは5月7日から掲載する予定です。
2013年4月14日(日曜日)Activist Postより
Assault On Gold Update(金はいま、狙い撃ちされているところ)
Paul Craig Roberts(ポール・クレイグ・ロバーツ)
その1
筆者が最初に指摘していたのは、単に債券価格や金利だけではなく、FRBは全ての市場を裏で操っていたという事。そして量的緩和によって脅かされている米ドルの交換価値を守るためであれば、金現物市場とて例外ではないという事である。FRBがその需要以上にドルを供給していく政策によって、ドルの価格、即ち交換価格は落ちやすくなっている。
ドルの交換レートが下がるという事はドル建ての輸入価格を押し上げるとともに、それによって米国内はインフレになり、FRBは金利のコントロールを失う事になる。債券市場は崩壊すると同時に“潰すには大きすぎる(too big too fail)銀行”の債権関連デリバティブの価値も崩壊する。現在の金融システムは混乱をきたし、パニックに見舞われる。
金現物価格の急速な上昇はドルの信頼喪失の兆候であると同時に交換レート低下のシグナルでもあった。そこでFRBは金現物価格の上昇を相殺するためにペーパーゴールド(SDR)市場でカラ売りを入れた。しかもその売りは、金の買い方のストップロスに照準を合わせる方法。すなわち金の買い方がストップロス水準に達した時に自動的に売りを入れるというやり口だった。
アンドリュー•マグワイア氏(ゴールドマンサックスの元トレーダー)によると、4月12日(金曜日)、FRBのエージェントは市場に500トンのカラ売りを投下したという。通常“売り”は、投資家が株や商品が下落すると考えた時に行うものである。モノが値崩れを起こして損する前に売り切ってしまいたい、更に実際に値崩れした時には下がったところでモノを買い戻したい。こうして“売り”でお金を稼ぐ事が出来る。モノがない場合は市場価格に等しい現金を担保に誰かから借りてくる。その借りたモノを売って、値下がりしたところで買い戻し、その上でモノを所有者に返す。十二分に下がっていれば必然的に市場価格も下がっていく。
カラ売りは現物を持っていない、あるいは誰からも借りずに売ることの出来る手法の事。SDR市場での取引において、参加者の興味は金の値動きであり、実際の儲けではない。従って、一般的に、参加者が実際の金のやり取りには関心がないという事になると、カラ売りに現物の裏づけは必要ないという事になる。
言い換えれば、カラ売りによって、現物なしに確実に“売る”事が可能という話になる【続く】。