9月30日付 メリマンコラム 《回顧と展望》 その2
また後の記事の中で、メルケルはこう言ったとされている。
“全員の声を聞くことによってのみ、ヨーロッパは上手くいくのです。私を知っている人々は、私が妥協点を探し求め、物事に対して創造的に取り組み、そして他の人々の利害を理解しようと努める人間だということを知っています”。
さて、上記の記事を木曜の同紙に載った『フランス 来年度予算案で増税』と題された記事と比べてみよう。
“フランス政府は2014年度の予算案を公表した。増税に依存した内容で、家計の購買力を損なう怖れがある上に、記録的な低さに落ち込んでいるフランソワ・オランド大統領の支持率もなお悪化しそうだ…… すでにヨーロッパでも最高水準となった税の重みを増やすという手段により…… フランスの企業と家計は、オランド氏が選出された16カ月前から確実に増え続ける税金に手ひどく痛めつけられてきた…… これまでのところ、彼のプランは期待されたような結果を生み出せずにいる”。
これではまるでディケンズの『二都物語』、ならぬ二種類の統治哲学を主題とした『二国物語』とでも呼ぶべきか。それは有権者に誓った約束を果たすことによって生まれる信頼度の違い、そして人々の利害に対して誠実に気を配っているという感覚を与えているかどうかの違いだ。それは “妥協点を探し求め、物事に対して創造的に取り組み、そして他の人々の利害を理解しようと努める” ことによって達成される。苦境に立つ他国の指導者達は、この事例から何か学べるのではないだろうか。
米国政府機関閉鎖と債務不履行の天王山が10月半ばと迫ってきた危機感を受けて、先週、世界の株式市場は下落した。ほんの数日前の9月19日には殆どの市場が史上新高値もしくは数年ぶりの高値をつけていた。こうした下落のたった一つの例外はオーストラリアで、オールオーディナリーズは先週末、5年ぶりの新高値まで駆け上った。また金と銀が前週以来レンジ内の上下動を続けている一方で、原油は7月5日以来の最安値水準まで下落した。