2013.11.09

11月04日付 メリマンコラム 《長期見通し》その1

「もしあなたが自身の医療保険に満足しているのだとすれば、勿論その保険を継続する事は可能です。以上」。
―オバマ大統領2009年、ならびに2010年の至る所で
10月30日付 ウォールストリートジャーナル誌より

“大統領はACAで1世帯あたり年間2500㌦までの医療費を補填すると約束した。しかしそれはペテン師の餌だった・・・。保守系の評論家はACAに関する議論の中で警告している。いわく、多くの米国民が自身の医療保険を失い、(保険未加入であった)5000万人が保険に加入する事で支払うべき保険料が上がり、この社会主義への旅路は、広告代よりもはるかに高くつくだろうと。ある部分は全く変わらない。ただより高いものはない。まさに有権者はこれまでと何かが違うと信じたかった。そして大統領は、それを利用したのだと”。
―ピーター・モリシ(経済学者、メリーランド大教授、コラムニスト)
10月30日付 CNBCより

天王星・冥王星スクエアの影響下にあっては、事態はコロコロ変わる。3週間前、米国民は怒っていた。米国を債務不履行の瀬戸際に追い込み、16日間も政府機能を麻痺させてまで、失敗覚悟でオバマケア(The Affordable Care ActあるいはACA:医療保険制度改革、あるいは手ごろで入手可能な質の高い医療保険とも)廃案に持ち込もうとした共和党にである。そして今日、怒りの矛先は突如民主党とホワイトハウスにシフトしている。これは米国民が“勿論その保険を継続する事は可能です。以上”とはならなかった現実に、―公約と違うではないかと―失望したためだ。

それだけでなく(既存の医療保険を継続するか否か)ハッキリするまで、政府の医療プランのお世話になる事になる。ただ(オバマケアの影響で)民間保険会社に加入している米国民の保険料が―べらぼうに―値上がりしているのだ。それだけでなく、それだけでなく……(中略)。

【註:大統領はこれまで加入中の医療保険の継続も可能と言ってきたが、多くの保険会社が、保険内容の見直しを理由に、加入者に値上げを伴う再契約を通知している。加えて10月以降政府が開設したWEBサイトにトラブルが相次いでおり、既存加入保険の継続も危ぶまれている状態になっている】

ここは大統領にとって良い時間とは言えない。彼はヘビーなトランジットの海王星の雲(霧)の下にいる(運行中の海王星は彼の出生図における月とスクエアを、冥王星とはオポジションを形成している)。この状態は2013年2月に始まり、2015年2月までは晴れない。以前も述べたが、ここでも繰り返す。即ち、海王星は信頼(trust)に関するもの全てを意味する惑星。ハードな海王星のトランジットのような状況下では、他者が自身の事を信頼している限りは、何から何まで持つ事が出来る。しかし、その信頼関係が壊れる、もしくは破損すると、その構築のために人生を傾けて専念してきた全てのものを、何もかも失うリスクがある。砂上の楼閣の如く、クラッシュダウンはやってくる。それは次から次へと一連のスキャンダルへと発展し、これまでの努力は無に帰していく。人々の信頼性が失われるにつれ、失望感は更に増していく。人々は(これまで信じていたその人物の)誠実さや能力を疑い始める。更に疑われた側も、現実に直面し、圧倒的な幻滅に自分自身を疑い始める。そして次のステップは、一度は支持していた人々が離脱していく状態である。