6月16日付 メリマンコラム 《回顧と展望》 その1
世界の株式市場は先週の殆どで上昇していたが、いくつか注目に値するダイバージェンスと水星逆行に関わる奇妙な動きがあった。しかしながら、よりビッグな話題は、たとえインフレ率が上昇し始めたとしても、2016年いっぱいは低金利が続くだろうという、FRB議長ジャネット・イェレンの発言だった。この発言を受け、金と銀は原油と並んで舞い上がった。銀は金曜、5月18日以来見られなかった1トロイオンスあたり21.00ドルの値を試した。金は1322.50に達し、4月16日以来の高値を記録した。原油は2013年9月以来初めて1バレルあたり107.73ドルまで急騰した。
イェレン氏はインフレをそれほど懸念していないように見えた。だが懸念は存在する。いったんインフレが始まれば、簡単に元に戻すことは困難になるだろう。商品相場のトレーダーはそれを知っている。これは1970年代に起きたことだ。そして好むと好まざるとに関わらず、私達は多くの政治的、経済的状況において1970年代の状況に戻ろうとしている。米国人にとってそれは失われた10年だった。そして、たとえ株式市場がFRBの介入主義政策によって人為的に高値維持されていようとも、平均的な労働者にとっては前回の “回復期” に比べて仕事が減り、収入が減り、貯蓄も減っているのだ。
ヨーロッパでは、金曜にDAX(独)が市場最高値まで舞い上がり、AEX(蘭)が6年ぶりの最高値水準まで反騰した。しかしながら、FTSE(英)もSMI(スイス)も同様には行かなかったことから、この地域での異市場間弱気ダイバージェンスが示された。