2015.06.02

6月01日付 メリマンコラム  《短期見通し》 その2

更にその上、大きな何かが宇宙で展開すべく静かに始まっている。そしてこれは、財政と政治の分野で展開していく“大きな何か”として反映される可能性が高いとみられる。我々は知っている。一連の債務問題に喘ぐギリシャが、今週までに大規模な債務支払期限を抱えているという事を。更に同国にはその債務を支払う余裕がないという事も。ただ多くの意見に反して、ギリシャはユーロ圏から離脱する事は出来ないし、放りだされる事もない。少なくとも同国がユーロ離脱を自ら選択しない限り、グレグジット(Grexit:Greece+exitで「ギリシャによるユーロ離脱」を意味する造語)にはならないだろう。

EU(欧州連合)を支配するリスボン条約の第50条によると、(この条約を批准した)どの国も、特定の加盟国をユーロ圏から放逐させる権利を持っていない。この条約を介してユーロ圏離脱を実施する唯一の方法は、各国が持つ離脱権の行使しかない。即ちこれは「任意の加盟国は独自の構成条件に応じて欧州連合から離脱する事を決定する事が出来る」と明記されているリスボン条約第50条の下、EU加盟各国が有する権利である。

ギリシャは望めばいつでもEU離脱を選択する権利がある。しかし同国の意思に反して(他の加盟国が)EU離脱を強要する事は出来ない。同じ事はドイツにも言える。事実上、ドイツはギリシャの債務を―どの国よりも―背負っている。従って、ドイツがギリシャよりも先にEU離脱を決める可能性はより高いのだ。ドイツ(に加えてフランスやオランダ)の国民の多くは、中央銀行、金融機関、そして多国籍企業の権力に対して不信感を抱いている時のエリザベス・ウォーレン上院議員と似たような意見を共有している。人は不可思議に思うだろう。仮に他の事業体が、やくざな兄弟が抱える財務上(更には恐らくモラル上)の債務の面倒を彼らが見続けてくれるのではないかと期待しているようなら、一体彼ら(特にドイツ)はいつまでEUにいるのだろうと。